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荷物の持ちかたには各人色々な流儀があろう。リュックサックを背負う人もあるし、ハンドルにプラスチックの固定具を介してバッグを付ける人もいる。しかし私は担ぎの峠越えでもない限り、荷物はすべてキャリアに乗せるのがよいと信じている。単純な形状のものなら直にキャリアにくくりつけることもあるが、大抵はまず荷物をバッグに入れ、そのバッグをキャリアにしっかり固定する。これが一番である。そして私は荷物をどう積み、バッグをどう装着するかということがツーリング車にとってもっとも重要な部分であるとすら思っている。ここではそのバッグとキャリアの固定方法について特集したい。 1. バッグ背面の固定 ふつう、ツーリング車用の既製品のフロントバッグ背面は、2本のベルトでハンドルバーに縛る形式になっていて、ほとんどの人が不十分な固定のためにバッグがふらふらする欠点を甘んじて受け入れている。あるいは黒いプラスチックの不恰好な固定具が付属している製品もある。これらは多くの客に対応しなければならないメーカー側の都合である。でも、ツーリング車にはバッグとキャリアが大事だと言ったくせに、こんな万人向けの装着方法では“オーダー車”の意義が半減すると詰問されたら、あなたはどう答えるか。 ルネルスが生産していたクイックディバイジョンはその一つの回答である。ルネルスなき今は、その信奉者たちはT社などのイミテート品を使っている。しかしこれらはいずれも重く高価である。そもそもquick-divideといっても、フロントバッグの取り外しに秒速を求めることに私は意味が見出せない。 私が自信を持っている自作品は、ホームセンターで誰でも安く手に入れられる材料で、もっと簡単に作った“Bag-Fix”である。昔から、ロードレーサーに無理にバッグをつけたり、アップバーを握りやすくするために、バッグサポーターと呼ばれるものがあったが、これらはsupportしてもfixするものではなかった。しかし私の自作品は明らかにfixの機能を持っている。 写真1:ステムのクランプボルトにバッグ固定装置Bag-Fixをロウ付けした例 これは、バッグの骨自体に2本のボルトがついていて“Bag-Fix”への固定具を兼ねており、バッグの骨とは別に固定具も用意しなければならないルネルスやそのイミテート品より断然優れている。このボルトつきの骨を自分でバッグに縫い込むわけで、牛革でフロントバッグを自作している私だからこそできるシステムともいえる(写真2)。 では、既製品のバッグを使いたい場合はどうするか。 すでにメーカーでバッグの中に縫い込まれた骨にボルトを2本埋め込まないといけない。以下に一つの改造例を紹介する。 写真2:自作の牛革フロントバッグの背面。2本のM5ボルトのついた背骨が縫い込んである。 オーストリッチのF-702はキャンピング車用のナイロン製大型フロントバッグである。背面を触診して骨の位置を確認する。これにM5のボルトを2本埋め込むことにする。穴あけは絶対失敗できないだけに、ハンドドリルではなくボール盤を使うのが安全だ。埋め込むボルトはM5だがドリル刃は6mmを使う。なぜそうするかは後を読めば分かる。ナイロンの生地ごと穴をあけるので、切削屑が出るのと同時にナイロンの糸がどんどんほつれてくる。ボルトをどうやって固定するか。この糸のほつれをどうするか。 M5用の大きい平ワッシャを4枚用意する。ワッシャの穴径は5.3mmである。4枚のうち2枚に6mmのドリルを通して穴径を広げ、ここに長さ7mm位のφ6パイプを差し込んでロウ付けする。このパイプに4.2mmのドリルを通して内径を広げ、タップでM5のネジを立てる。いわば、きわめて座面の広いフランジナットを製作したことになる。 写真4:市販のフロントバッグ(オーストリッチF-702)の骨にボルトを装着した例 フラックスを洗ってからぴかぴかに磨き、残りの2枚の平ワッシャと併せてバッグにM5ボルトを装着する。骨に6mmの穴を開けたところにφ6パイプがぴったり挿入されて、M5ボルトとバッグの骨がナイロンのほつれた部分を挟むようにして合体する。知らない人が見たら、この状態で店頭に並んでいたかと思うような仕上がりとなる。 2. バッグ底面の固定 底面の固定はダート走行に不可欠の処方箋だ。ただ処方箋とは患畜の一頭一頭に合わせて出されるべきものであって、既製品のバッグの底面ベルトのように万人向けのおざなりな設計では効果は期待できない。 私の書いた処方箋は右図の“Bottom-Fix”である。厚手の布(切り売りの安いカーペットがよい)をキャリアより二回りほど大きめに切り、これに1cm厚のセルスポンジ(硬いスポンジ)を縫いつける。厚さはこれより薄くても厚くてもいけない。セルスポンジの幅はキャリアの内幅にぴったり合わせてある。そしてキャリアの外幅に合うようにカーペットにスリットを設け、このスリットにストラップを通してキャリアを締めるようになっている。セルスポンジの幅がキャリアの内幅にぴったりであることと、ストラップの間隔がキャリアの外幅にぴったりであること。両方が大切である。この底面固定ユニットをフロントバッグの底面に縫いつける。効果は絶大である。 写真5/6:フロントバッグの底面。1cm厚のセルスポンジがキャリアの内側にぴったりはまり、ストラップで締めるとバッグは全く動かなくなる。 3. No Bicycle, No Life 背面を“Bag-Fix”でネジ止めし、底面を“Bottom-Fix”で締めれば、たとえ手でこじるように揺すったとしてもバッグは絶対に動かない。それは自転車と一体化する。それまでバッグが揺れることであらゆる方向に発生していた横Gが消える。フロントバッグはステアリングの真上に乗っているから、そこに横Gがあるのとないのとでは乗り味が大きく異なる。Rハブの玉押しが少し緩んだくらいでは気がつきにくいのに、ヘッド小物はほんのわずか緩んだだけでも不愉快で仕方がない。それに似ている。ツーリング車というものは、バッグも含めた状態で一台の自転車だから、それらを一体化させるのは当然なのだ。 いや、一体化するのは自転車とバッグだけではないかもしれない。乗り手みずからアイデアを発想し、金属を切削し、糸を縫い、ロウ付けし、ときどきトーチで火傷しているうち、乗り手と自転車も一体化していく。自分の自転車が本当に自分の自転車になっていく。それこそがこの処方箋の最大の効用かもしれない。魔物にソローニュをつけて満足している連中に、この境地が理解できるかな。
by rinyuukai
| 2012-03-17 13:46
| モノマニア通信
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