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(vol.2からつづく) 変わりつつある南海岸 脇野沢から南海岸は、風が北から回り込んで西から東へ強く吹き付け、自転車は押されてぐいぐい進んだ。この辺りは大昔から何万年もの間、この同じ向きの風が吹いていたに違いない。そのせいで南海岸には砂が堆積して穏やかな砂浜が続き、厳しい断崖絶壁だった西海岸とは好対照をなしている。脇野沢村、川内町という地名が学生時代から耳に残っているが、今はすでにむつ市に併合されている。軒先にマキを積んだ家はほとんどなく、青森のほかの地方と同じように、玄関先に石油タンクが設置されている。道からローリーで給油するようにタンクを玄関先に置いているのだ。むつ市の市街までは車で十分通勤圏であり、川内には近代的で大きなスーパーもある。地形も、暮らしも、そしておそらく家庭の経済的なことまでが、半島西海岸と南海岸で明瞭に異なっている。 最後の夜 川内の、その大きなスーパーで夕飯の買い出しをして、あと数キロ走った角違という集落に着いた。この地は南へ張り出した小さな岬にさえぎられて風がなく気持ちが良い。ここの神社の境内にテントを張ることにした。ツーリング最後の夜。明日はむつ市市街まで、郊外の道をわずかに20キロ走り、レンタカーで空港へ向かうだけだ。家では妻と子供が待っている。低気圧は完全に抜けた。明日は弱い追い風が吹き、穏やかな一日になるだろう。 コンソメで下味をつけたスープの中に、一口大に切ったにんじんとたまねぎ、ベーコンと荒挽きソーセージを入れた。小鍋に湯を沸かして燗をつける。鶏肉とネギ、砂肝を串に刺し、焼き鳥を何本も作った。弱火にして網に串を並べる。神社の叢林に囲まれて実に静かだし、積もった落ち葉がふかふかして気持ちが良い。実に落ち着いた夜だ。ぼちぼちジャガイモの皮をむいて、大きめに切ってさっきのスープに入れた。少し煮込んだらポトフができる。焼き鳥の串を裏返して、ゆっくり焼いて、また返してはぬる燗を飲む。 焼き鳥から油が垂れて、その度にシュー、・・ジッ、・・ジッ・・、と音がして小さく煙が上がる。酒を一口飲んで、タレを付けてもう一度焼く。香ばしい匂いが立ち込める。このツーリング全体のことを思い出していると、昨日、一昨日のことがとても懐かしいことのように感じた。暴風雨の恐山、吼える津軽海峡。思えば厳しいツーリングだった。・・・また一口飲んで、またジッと煙が上がる。その繰り返しがたまらなく楽しかった。熱いポトフからは白い湯気が上がり、ふぅー、ふぅーと吹くと、一層ふわぁーっと立ち上がる。ふぅー。熱い。うまい。 落ち着いた気持ちで、暖かいものが食べられる幸せが嬉しかった。いいツーリングだった、力はしっかり出した。うん、合格点だ。俺はよく走った。そう心に呟いてまた一口飲んだ。温かく、朝までぐっすり眠った。
by rinyuukai
| 2012-11-27 22:54
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