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今回は、自宅の自転車置き場兼工房で、クロモリステムを作って遊ぶことにしましょう。 Ⅰ 材料 クイル部とエクステンション部:φ22.2mm(7/8in)、厚さ1.47mm(0.058in)のクロモリ4130材を使用します。 クランプ部:φ28.6(1・1/8in)の4130材を使用します。今回はφ25.4のハンドル用のステムを作るつもりですので、厚みは0.058inのものを使用します。もしハンドルがφ26.0なら、厚み0.049inを使用します。 ほかに、シートチューブ用のバインダー1個、ウスと引き上げ棒(日東製、NITTO UI-2用として購入)が必要です。ロウ付けには真鍮ロウと酸素アセチレントーチを使います。 Ⅱ クイル部の加工 クイル部とエクステンション部を必要な長さに切り、中心線を罫書きます。日東の引き上げ棒には、長さが3種類ありますが、ふつうは最も長い150mmを使い、それに合わせてクイル部の長さは145mmに切ります。 皆さんは、斜ウスの斜面の角度は何度かご存知ですか。答えは36°です(JIS D9412)。パイプを斜めに切った断面の輪郭は、平面に展開するとサイン曲線を描きます。クイル部の径は言わずもがな22.2mmですので、周期22.2mm、振幅は、22.2÷tan36=30.6mmです。この条件でパソコンにサイン曲線を描かせ、これを紙に印刷してはさみで切り取り、クロモリチューブに巻いて、あとはこの紙に沿って切削すればいいのです。 初めは金鋸か、グラインダーに切断用の刃をつけて大まかに削り出し、最終的には大きな平ヤスリで仕上げます。正確に仕上げるには、ヤスリでの切削作業にある程度慣れていることが必要です。 実際には、展開図の作成には紙の厚みの分だけ大きな径を入力した方が、より正確にチューブに合わせることができます。φ22.2より、22.3か22.4mmとして入力したほうが実際にはよく合います。 仕上がったら、ウスをあてがってみて、金工用の定規など直線性の担保された測定具を使って、ピッタリになっていることを確かめます。 次に、尖った先端を削り落としてフラットにしておきます(下写真)。また、斜面をサンドペーパーで磨いてツルツルにし、ウスとの摩擦抵抗を最小になるようにします。安全性の観点からここは大切なところです。有名ビルダーが作ったクロモリステムでも、この部分がイイカゲンなものが多くあります。先端が削り落としてないステム、斜面がツルツルに磨いてないクロモリステムは使用不可。フロントホイールを股に挟んでハンドルをこじってみて、ブレるようなステムは危険です。 Ⅲ エクステンション部の加工 ステムやフレームのザグリ加工は、プロのフレームビルダーはホールソーを使っていますが、それがなくてもヤスリで正確なザグリをするのは案外簡単です。 パソコンでtubemiterなどのプログラムをダウンロードし、各部のパイプの径と角度を入力すればザグリ部分の輪郭を平面に展開した図を描かせることができます。この展開図を紙に印刷して、はさみできれいに切って貼り付け、この線に沿って切削していけば正確なザグリができます 余談ですが、我々自転車マニアがいうザグリを英語でmiterといい、ザグっていく工程をmiteringといいます。もとはmiterとは木工のホゾ切りを指す言葉です。今回は、フレームにつけたときにエクステンション部がほんのわずかに前下がりになって精悍な感じが出るように、エクステンション角71°として製作することにしました。 Miteringのコツの一つは、各部のアールに合ったヤスリを使うことです。たとえば、エクステンションがクランプに接合する部分のザグリでは、私はツボサン製250mmの半丸ヤスリで仕上げています。またエクステンションがクイル部に接合する部分のザグリにはツボサン製の150mmの半丸ヤスリを使用しています。 この時点でかなり完璧に近いザグリができていますが、私はさらに完璧なフィッティングを目指すために、接合する相手の管に#400くらいの紙ヤスリを巻きつけ、それを使って接合部を磨いています。少し磨けば、細かい凹凸が取れて、ピッタリな接合になります。ただしこの方法は、紙ヤスリの厚みの分だけ大きな径に合わせていることになるので、やりすぎは禁物です。あくまで細かい凹凸を取ることだけに留めます。これで完全に「ぴったり」なザグリができます(下写真)。 Ⅳ 穴をあける クイル部、クランプ部のロウ付けで隠れてしまう部分に穴を開けます。これをガス抜きの穴だと思っている人がいますが、むしろ後でフラックスを洗い流す際の水の抜けを良くするためのものです。ガス抜きのためならもっと小さい穴でいいわけですが、エクステンション部の内側に水分が残るとさびが発生するので、このような大きな穴を開けます。 Ⅴ ロウ付け ロウ付けの前には、接合部の周囲を磨いてナマの鉄を出し、脂分などを取り除いておきます。自作のジグにセットし、以下の順で製作します。 1.クイル部とエクステンション部をロウ付け 2.次にエクステンション部とクランプ部をロウ付け 3.大まかに仕上げをする 4最後にクランプのバインダーをロウ付け このように自分の製作環境に合った手順を考案することはとても大切で、自作の醍醐味でもあります。クランプ部は、仮付けしてからジグから外し、定盤の上で台付スコヤで直角を確認してから本付けをします。 クランプのバインダーをどういう角度につけるか考えるのは楽しいものです。バインダーが地面と平行になるようにつけるのもいいし、少し斜めにするのもカッコ良い。ただ、このあたりは形状が込み合っていて仕上げがしにくいので、一旦大まかに仕上げてからバインダーをロウ付けしたほうが、作業が楽です。 Ⅵ 洗浄、仕上げ 硫酸でフラックスを洗い流します。若干温かい方がよく落ちるので(特に冬)、私は夕べのお風呂の残り湯をプラスチック製バケツに汲み取ってそこに硫酸を少量混ぜるのが最も良いと思います。 小さい半丸ヤスリを使って余分なロウを削り落とし、形を整えます。 おっと、バインダーに割りを入れるのを忘れてはいけません。私はグラインダーに切断用ディスクをつけて割りを入れています。金鋸でもOKです。 また、メッキ仕上げにするためには、下地がピカピカに磨いてないといけません。右の写真は、上が大まかに仕上げたところで、下がメッキに出す直前です。この通り、知らない人が見たらメッキしてあるのかと思うくらいにピカピカに磨いてから、メッキ工場に出します。 Ⅶ 製作費 ステム製作でお金のかかるのは、実はメッキに出す際の往復の宅配便の料金です。ですからキャリアなど他にメッキする物をできるだけまとめて発送します。写真のステムの製作費は、その宅配便の料金と、ウスと引き上げ棒の代金を含めて2500円ぐらいだと思います(私の労賃=時給0円として計算)。
by rinyuukai
| 2013-05-25 14:44
| モノマニア通信
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