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今日は自作フレームに装着するキャリアを製作します。 ☆1 材料 日本でふつうにいう古典的なタイプのランドナーのフロントキャリアには、φ7mmのパイプ材が使われていることが多いですが、これではいかにもドロ臭く、洗練されていない感じがします。 むしろ、φ6mmのパイプ材がフロントキャリアや小さいリヤキャリアには軽くてスポーティーな印象に仕上がってよいと思います。強度にも全く問題はありません。一方、キャンピングなどもっと荷重のかかるものにはφ8やφ10を使用します。 また、ダボの製作用として2mm厚の鉄板が少量必要です。なお、ステンレスへのメッキは困難ですので、うっかりステンレス製の材料を使わないよう注意しましょう。 ロウ付けには、真鍮ロウなら酸素アセチレントーチを使用します。銀ロウならホームセンターで売っているブタントーチでも何ら問題ありません。 銀ロウと真鍮ロウの差を問われることがよくあります。大まかにいえば銀ロウは作業温度が100~150℃ほど低く、素材に与えるダメージを少なくできる利点があります。引っ張り強度もわずかに銀ロウの方が優れています。ですから銀ロウを用いた方が理想的なのですが、何せ銀ロウはコストがかかります。真鍮ロウは単純に引っ張り強度だけをみればわずかに劣りますが、自転車の製作という使用目的を考えればこの差は意味のあるものではありません。 ☆2 製作工程のアウトライン 四角形の天板は、コの字型に曲げたパイプを二つ継ぎ合わせて作ります(下写真)。先丸型ならば、馬蹄形に曲げたパイプと、直角に曲げたパイプを継ぎ合わせて作ります。継ぎ合わせにはパイプの内径と同じ太さの鉄のムク棒を用います。たとえばφ6mmのパイプは内径4mmなので、その太さのムク棒を使って継ぎます。 フォークへつながるステイを製作するには、長めに切ったステイの先にまずダボをロウ付けしておき、後で適切な長さに調整して天板とロウ付けするという手順を取ります。 また背当てなど他に必要な材料が無駄なく取れるように、よく考えて材料を切り出すことが大切です。私の場合、キャリア1個の製作でパイプ材の無駄は数センチ程度しか出ません。 ☆3 曲げ加工 パイプ材をただ曲げようとすると当然そこが潰れてしまいますので、中に砂を詰めなくてはいけません。細かく粒のそろった砂はだめで、大小いろいろな大きさの粒が混じった砂が良いです。私は近所の小学校のグランドから少量失敬してきて使用しています。パイプの一端をガムテープで閉じ、もう一端から(二つ折りにした新聞紙を使って)砂を詰めていきます。ちょっと入れてはトントントン、またちょっと入れてトントントン、を繰り返してしっかり詰めるようにしてください。終わったら端をガムテープで閉じます。案外簡単に詰めることができてびっくりすると思います。 曲げるための型材を用意します。私は直角に曲げるためにはφ40mmのアルミ柱を型材として使用しています。そのほか飲料のビンなども有用で、私は色々な大きさの物を常備しています。万力に、砂をつめたパイプと型材とを軽くはさみ、左右から均等な力を加えて曲げます(下写真)。きれいなアールで曲げるには、左右の手を均等に使って曲げるのがコツです。曲げ終わったらガムテープをはがして砂を抜きます。しっかり詰まっているのでなかなか抜けないですが、抜けたかどうかは一端を口にくわえて吹いてみれば容易にわかります。直角でも馬蹄形でも、φ6でもφ8でも、私が曲げた部分に潰れは全くなく、きれいな円のまま曲げることができます。 ☆4 クラウン貫通穴に付ける場合 3点止めのキャリアの場合、その1点は、(フロントキャリアの場合)クラウン貫通穴、(リアキャリアの場合)シートステイブリッジであるはずです。そこの部分のデザインは、右下の写真のように馬蹄形になっていなければなりません。よく、ここが1本の棒状、または板状になっているキャリアを見かけますが、私の長いツーリング歴から言ってこれらは破損の危険性が高いです。かならず馬蹄形になるように作りましょう。ここはパイプ材でもいいし、φ4~5mmの鉄のムク棒を曲げて作ってもいいです。 この写真は、3点止めの小さいリアキャリア用のもので、シートステイブリッジの泥除けカクシ止め台座を利用して止めるように、5mmのダボがロウ付けしてあります。クラウン貫通穴に付ける場合は、適切な長さの鉄のナベボルトをロウ付けします。 ☆5 天板をどうやって仮止めするか キャリアの設計のいかんにより製作の手順は細部で異なりますが、とにかくどうやって天板をフレームに仮止めするかが問題になってきます。その一例として、U字型の背当てがある場合の手順を説明します。 まずフロントキャリアならヘッドアングル、リアキャリアならシートステイの角度をプロトラクターで測定します。 右の写真は、背当てがそれと同じ角度になるようにレンガをずらしながら調整しているところです。角度が決まったら、2点のうちどちらか1点だけをロウ付けします。 フロントキャリアの背当てが天板と直角なのを好む人もいます。その場合は特にプロトラクターを必要としません。 作業台の上で、フレームを前後左右水平に固定します。下の写真のように、適切な厚さの木材を介して背当てをフレームに針金で縛りつけます。プロトラクターの角度が正確なら、ここで天板の角度を測ると、それは水平に仮止めできているはずです。もしそうならなかった場合はもう一度ロウ付けを外してやり直します。 ☆6 天板の位置を定める ☆4の項目で説明した馬蹄形の金具を適切な長さに調整してロウ付けします。生地のフレームに作る場合はなにも問題ありませんが、塗装済みのフレームにキャリアを作る場合は炎が近いので緊張する瞬間です。しかしこの工程まで来れば、天板の位置は完全に定まります。馬蹄の一端をロウ付けし、天板の水平度をチェックして問題なければ、馬蹄のもう一端と背当てのもう一端をロウ付けします。残るはステイの製作だけになります。 ☆7 ステイの製作 ステイをフォークやシートステイのダボに固定する場合は、特に何も難しいことはありません。ステイの先に割を入れてダボを差し込んでロウ付けするだけです。 しかしカンチ台座に共留めにする場合は、これをどうやって製作するか多くの人が考え込むことと思います。ブレーキ本体にトーチの炎をかけるわけにはいかないからです。とくに塗装済みのフレームにキャリアを製作する場合はなおさらです。 まず2mm厚の鉄板に6mm穴を開けてからダボを荒く大きめに切り出します(下写真)。 次に、使用するカンチブレーキをダボと一緒に組み付け、カンチ台座からダボまでの寸法をノギスで測ります(カンチブレーキの機種によってこの寸法は異なる)。 そしてカンチブレーキを取り去り、長いM6ボルトに置き換え、先ほどノギスで測定した寸法になるようにダボを固定します(下写真)。ステイと天板の接合部をみながら、ステイ自体がどのくらいの長さになるか測り、それより2mmくらい長めにカットします。 右の写真のように天板にステイをガムテープで仮止めした状態で、ステイとダボをロウ付けします。いわば、長いM6ボルトをダミーのカンチブレーキとして利用するのです。この時点でダボはまだ大きめに切りだしたままなので、熱が冷めたらステイを取り外してダボを削り込み、きれいに成形します。これでステイがほぼ完成しました。 ☆8 キャリアの完成へ 再びカンチブレーキ本体を組み付け、ステイもセットします。ステイはさきほど2mm長めにしたはずなので、天板までのちょうどピッタリな長さになるよう少し削る必要があります。 右の写真は、水平器を見ながらステイをピッタリに切削したところです。 いよいよ天板とステイをロウ付けします。これが終わればもうキャリアは完成したも同然です。下の写真は全てのロウ付けが終了した状態、キャリア製作の中で、最も嬉しい瞬間です。 ☆9 仕上げ もし必要なら、バッテリーランプやフラッシュライトなどのM5ダボをロウ付けします。メッキの前には下地をピカピカに磨かなくてはなりません。私はフラップホイルなどの軸付き研磨材をボール盤につけて磨き、次にストリップ状のサンドペーパーで手研磨し、最後はピカールでピッカピカに仕上げてメッキに出しています。 写真のリアキャリアには、ステイにM5ダボがロウ付けしてあり、そこに市販のLEDのフラッシュライトを少し改造して直付けしてあります。クラシックなデザインと現代的な感じが融合した、カッコイイ作品になったと思います。この程度の大きさなら、製作費用はメッキ代込で1500円くらいです。 自作の良いところは、より高機能を目指すための自分自身のアイデアを即座に表現できるところです。カンチやセンタープルを使用するフレームでは、ふつうヘッド小物に装着したアウター受けが使われることが多いです。しかしこれはたわみが大きく、ブレーキの性能を大きく損なう一因になっています。右の写真は私のオリジナルのフロントキャリアの一つで、キャリアにロウ付けした箱形のアウター受けは強固でたわみは全くありません。このような構造にすることでカンチブレーキやセンタープルブレーキは飛躍的に使用感が向上します。またシマノのリンクワイヤーに変更すればさらにもっと性能は向上します。このように、自身の設計思想を具体的に表現できるのが自作の最も素晴らしいところです。 上の写真は友達のために作ったキャンピングキャリアです。高校の頃から乗り続けている往年の名車、片倉シルクキャンピングのキャリアが寿命を迎えたが、それでもまだ乗り続けたいので、そのフレームに合わせて作って欲しいという製作依頼でした。写真はロウ付けと酸洗いが終わったところで、これから磨きに入ります。5分割できるようになっていて、フロントキャリアの部分は8φ、それ以外は10φで作りました。名古屋のKサイクルのキャリアやかつてのアルプスローバーのキャリアと同じように、サイド枠がトイ(樋)に乗るようになっています。 下の写真は中学生の娘の通学用に作ったキャリアです。毎日持っていく教科書などがびっくりするほど重いので7φで作りました。この上に通学カバンを載せ、ワンタッチで簡単に止められるように別途製作したバックルベルトで固定して通学しています。
by rinyuukai
| 2014-09-15 18:19
| モノマニア通信
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